震災の後で
とあるミュージシャンの話
空の梯子
愛してた
愛してた
汚れてない 経験ない まだ触れない
そこに行くのは 駄目だ 責任持てるかって言われ
何も答えられず
愛してた
未体験のそこに足を踏み入れる
やわらかい地面が 動いてるのを発見
こんなにやわらかいものがあるって 知らなかった
分けないで 隔てないで 一緒にしないで こっち来ないで
それは馬鹿にしようとしてるわけじゃなくて それは得しようとしてるわけじゃなくて
醜いけれど のこしてしまう
まるごとじゃないけど そのまんまの ところだけ食べて
愛してた
触ったら暖かかった
耳をつけて聞いたら
自分の声みたいだった
愛してた
ちっちゃい頃祈ってた 神様か ヒーローか そこにいて
「なんだい どうした あーそうかい そりゃどうも」
って話 聞いてくれて
もう怖くないよ さらば怖いカイジュウたち
戦闘機を空に貼り付けて 口を大きく開けて呼びかける
もしもしお前は 誰を喰らうの
それとも自分が 朽ち果てるまで じっとしてるの
愛してた
変わった色の 変な形の
内臓が はらわたが 光を出し続けて
爆発しながら 動いてる
愛してた
気づいてないけど それはある
誰のだかわからない 悲しすぎる夢だって
何もないけど それだけはある
手をつなぐのは嘘なの 愛の言葉も嘘なの
一人のまんまで 手は握ってるの
屈辱を抱きしめて どこかへ行くんでしょ
力が欲しくて でも勝てなくて 誰にも見せないで
真っ暗でもいいよ 明かり一つなくてもいいよ
けれどそれでも 差し込んでくる 光が欲しいならそれでもいいよ
出て行って帰る頃 君の場所はもうないかもしれないけど
本能よりも深い場所で ずっとそこにいたでしょ
愛してた
世界中の子供たちにおやすみを言おうよ
父さん母さんも行く先はこっちだから 帰るまでにきっと
みんなが喜ぶもの持ってくるから
愛してた
何万年も 何億年も
そこにいた その贈り物が
僕や君になって 子供たちが眠るまで
大きな木でも 小さな木でも
僕でも君でも カイジュウでも嘘つきの天使でも
お父さんやお母さんが もらったら嬉しいものがある
だから永遠に桜咲く 世界中の子供たちに プレゼントをあげる
星とおでん
冷たいおでんをしこたま食べて 川のほとりで屋台をひいて
私はおでんを売っている 冷たいおでんを売っている
おでんのことを知らない奴らが 私に気安く声をかけ
私はおでんを隠しながら 彼らの笑いを眺めていた
それから彼らにおでんを出して 吐き出す様まで観察した
彼らは蔑んだような顔で 私の目頭睨んでいた
手を出してはいけなかったんだ 気まずさ流れて気付いたんだ
こんなちんけな屋台のおでんに 私は命を売っていた
夜になると星がきらめいてきた 雲の合間から光が届く
はいもいいえも言わない光 けど そこにはいけないんだって距離
薔薇色にきらめく星に つかみきれない輝きに
こちらからはきれいすぎる星に 永遠に私は嫉妬し続け
石をひろってきらめく夜空に 投げつけようと試みてみたが
思い切って投げることができず そのまま地面にぽとりと落ちた
そしたらおでんが冷たくなって カチコチいわせて凍り始めた
川があふれて足元を濡らし ガチガチ体も震え始めて
どんどん濃くなる夜の向こうから 冷えた空気の向こう側から
トカゲの形の鳥が飛び出して 私に近づきつついて声上げ
その頭上から遙かにでっかい 巨大な足の裏が現れて
目がかすむほどきれいな夜空を あっという間に遮ってった
今まで何もしてこなかったように 何もなく何もひとつも残らず
信じられない私はナイフで トカゲの口を突き刺してみたが
当たった瞬間刃先が負けて ぼろぼろこぼれて割れてしまった
気づけばやたらと指を切ってて 命が真っ赤に染まって見えた
何にもないのに現れて 私におでんを頼んでくれる
あなたがいてくれたなら ここも救われるかもしれないけど
昔ここに来る前に 私とあなたは等価で結ばれ
ある日数字が犯されたら 必ず誰かが迫害されて
その迫害に私も参加し 参加しなければ迫害された
迫害したら冠が載って 冠はピカピカ光っていた
全ての冠は誰かを 迫害して与えられるもので
そうでなければ盗みを働き 法の裁きを受けなければならない
だから私は法律なんて くだらんもんだという風に
思ってジャンジャン盗んでそれが 良い事なんだと思うことにして
冠盗みを始めたけれど そのうち捕まるの怖くなって
どうでもいいよな万引きだけを 何度も何度も繰り返した
結局私はあなたをいじめて 冠もらって喜んでた
一人になっても知らない誰かを 間接的に迫害してた
あなたは私のおでんを食べて なんでもないねと小声で言った
まさかと私はおでんを食べて こいつはまずいと自分で思った
わたしがおでんを つくってた時
あなたが隣で 息をしていた
私の中の あなたをずっと
私はこの手で 虐げていた
私とあなたは対立して 私はごまかしながらおでんの
味をどうやってでっち上げるか そればかりいつも考えていた
大好きなあなたに嫌われて はいもいいえもない光に
今度こそ本当に本当に その輝きの夢の中に
取り込まれ犯され壊されて それからもう一度生まれ変わりたい
生まれ変わって今度はあなたを 包み込む星の雪になりたい
その時あなたに私のことを ずっと覚えててもらいたくって
私はあなたでおでんをつくる あなたの命でおでんをつくる
私はおでんを売っている 冷たいおでんを売っている
空を覆ってた巨大な足が 川をまたいで倒れた時
私は壊れた屋台の脇で 星を見ながら考えていた
客席にあなたが現れて おでんを頼んでイスに座って
二人で話しながら「これ冷たいね」って笑えたらいいなあ
小さな歌
花が咲いたとき 花が散ったとき
君がいなくても 花は美しい
だからワハハハハ ワハハハハ 笑うときは 思いきり笑え
エンエンエン エンエンエン 泣きたいときは 思いきり泣け
それができなきゃ ちいさく歌え
君がつくってる ガラスのお城は
君をいつまでも 守っていてくれる
だからドカドカと ガンガンと 壊すときは 思いきり壊せ
バキバキと ベリベリと 破るときは 思いきり破れ
それができなきゃ ちいさく歌え
君は残酷で 君はちっぽけで
けど 君はやさしくて 君はいやらしい
そう君が生きるとき 君が死んだとき
花がいなくても 君は美しい
君が無意味でも 君は今ここにいる
だからヘラヘラと ギャーギャーと 笑うときは 思いきり笑え
メソメソと ワンワンと 泣きたいときは 思いきり泣け
それができなきゃ ちいさく歌え
とあるミュージシャンの話
空の梯子
愛してた
愛してた
汚れてない 経験ない まだ触れない
そこに行くのは 駄目だ 責任持てるかって言われ
何も答えられず
愛してた
未体験のそこに足を踏み入れる
やわらかい地面が 動いてるのを発見
こんなにやわらかいものがあるって 知らなかった
分けないで 隔てないで 一緒にしないで こっち来ないで
それは馬鹿にしようとしてるわけじゃなくて それは得しようとしてるわけじゃなくて
醜いけれど のこしてしまう
まるごとじゃないけど そのまんまの ところだけ食べて
愛してた
触ったら暖かかった
耳をつけて聞いたら
自分の声みたいだった
愛してた
ちっちゃい頃祈ってた 神様か ヒーローか そこにいて
「なんだい どうした あーそうかい そりゃどうも」
って話 聞いてくれて
もう怖くないよ さらば怖いカイジュウたち
戦闘機を空に貼り付けて 口を大きく開けて呼びかける
もしもしお前は 誰を喰らうの
それとも自分が 朽ち果てるまで じっとしてるの
愛してた
変わった色の 変な形の
内臓が はらわたが 光を出し続けて
爆発しながら 動いてる
愛してた
気づいてないけど それはある
誰のだかわからない 悲しすぎる夢だって
何もないけど それだけはある
手をつなぐのは嘘なの 愛の言葉も嘘なの
一人のまんまで 手は握ってるの
屈辱を抱きしめて どこかへ行くんでしょ
力が欲しくて でも勝てなくて 誰にも見せないで
真っ暗でもいいよ 明かり一つなくてもいいよ
けれどそれでも 差し込んでくる 光が欲しいならそれでもいいよ
出て行って帰る頃 君の場所はもうないかもしれないけど
本能よりも深い場所で ずっとそこにいたでしょ
愛してた
世界中の子供たちにおやすみを言おうよ
父さん母さんも行く先はこっちだから 帰るまでにきっと
みんなが喜ぶもの持ってくるから
愛してた
何万年も 何億年も
そこにいた その贈り物が
僕や君になって 子供たちが眠るまで
大きな木でも 小さな木でも
僕でも君でも カイジュウでも嘘つきの天使でも
お父さんやお母さんが もらったら嬉しいものがある
だから永遠に桜咲く 世界中の子供たちに プレゼントをあげる
星とおでん
冷たいおでんをしこたま食べて 川のほとりで屋台をひいて
私はおでんを売っている 冷たいおでんを売っている
おでんのことを知らない奴らが 私に気安く声をかけ
私はおでんを隠しながら 彼らの笑いを眺めていた
それから彼らにおでんを出して 吐き出す様まで観察した
彼らは蔑んだような顔で 私の目頭睨んでいた
手を出してはいけなかったんだ 気まずさ流れて気付いたんだ
こんなちんけな屋台のおでんに 私は命を売っていた
夜になると星がきらめいてきた 雲の合間から光が届く
はいもいいえも言わない光 けど そこにはいけないんだって距離
薔薇色にきらめく星に つかみきれない輝きに
こちらからはきれいすぎる星に 永遠に私は嫉妬し続け
石をひろってきらめく夜空に 投げつけようと試みてみたが
思い切って投げることができず そのまま地面にぽとりと落ちた
そしたらおでんが冷たくなって カチコチいわせて凍り始めた
川があふれて足元を濡らし ガチガチ体も震え始めて
どんどん濃くなる夜の向こうから 冷えた空気の向こう側から
トカゲの形の鳥が飛び出して 私に近づきつついて声上げ
その頭上から遙かにでっかい 巨大な足の裏が現れて
目がかすむほどきれいな夜空を あっという間に遮ってった
今まで何もしてこなかったように 何もなく何もひとつも残らず
信じられない私はナイフで トカゲの口を突き刺してみたが
当たった瞬間刃先が負けて ぼろぼろこぼれて割れてしまった
気づけばやたらと指を切ってて 命が真っ赤に染まって見えた
何にもないのに現れて 私におでんを頼んでくれる
あなたがいてくれたなら ここも救われるかもしれないけど
昔ここに来る前に 私とあなたは等価で結ばれ
ある日数字が犯されたら 必ず誰かが迫害されて
その迫害に私も参加し 参加しなければ迫害された
迫害したら冠が載って 冠はピカピカ光っていた
全ての冠は誰かを 迫害して与えられるもので
そうでなければ盗みを働き 法の裁きを受けなければならない
だから私は法律なんて くだらんもんだという風に
思ってジャンジャン盗んでそれが 良い事なんだと思うことにして
冠盗みを始めたけれど そのうち捕まるの怖くなって
どうでもいいよな万引きだけを 何度も何度も繰り返した
結局私はあなたをいじめて 冠もらって喜んでた
一人になっても知らない誰かを 間接的に迫害してた
あなたは私のおでんを食べて なんでもないねと小声で言った
まさかと私はおでんを食べて こいつはまずいと自分で思った
わたしがおでんを つくってた時
あなたが隣で 息をしていた
私の中の あなたをずっと
私はこの手で 虐げていた
私とあなたは対立して 私はごまかしながらおでんの
味をどうやってでっち上げるか そればかりいつも考えていた
大好きなあなたに嫌われて はいもいいえもない光に
今度こそ本当に本当に その輝きの夢の中に
取り込まれ犯され壊されて それからもう一度生まれ変わりたい
生まれ変わって今度はあなたを 包み込む星の雪になりたい
その時あなたに私のことを ずっと覚えててもらいたくって
私はあなたでおでんをつくる あなたの命でおでんをつくる
私はおでんを売っている 冷たいおでんを売っている
空を覆ってた巨大な足が 川をまたいで倒れた時
私は壊れた屋台の脇で 星を見ながら考えていた
客席にあなたが現れて おでんを頼んでイスに座って
二人で話しながら「これ冷たいね」って笑えたらいいなあ
小さな歌
花が咲いたとき 花が散ったとき
君がいなくても 花は美しい
だからワハハハハ ワハハハハ 笑うときは 思いきり笑え
エンエンエン エンエンエン 泣きたいときは 思いきり泣け
それができなきゃ ちいさく歌え
君がつくってる ガラスのお城は
君をいつまでも 守っていてくれる
だからドカドカと ガンガンと 壊すときは 思いきり壊せ
バキバキと ベリベリと 破るときは 思いきり破れ
それができなきゃ ちいさく歌え
君は残酷で 君はちっぽけで
けど 君はやさしくて 君はいやらしい
そう君が生きるとき 君が死んだとき
花がいなくても 君は美しい
君が無意味でも 君は今ここにいる
だからヘラヘラと ギャーギャーと 笑うときは 思いきり笑え
メソメソと ワンワンと 泣きたいときは 思いきり泣け
それができなきゃ ちいさく歌え